本文へスキップ

姉妹都市交流でホームステイ受け入れ(めぐさん)

姉妹都市交流でホームステイ受け入れ(めぐさん)

自治体(市町村)が姉妹都市を持ち、国際交流事業を活発に行っているケースがあります。アメリカのオレゴン州ユージン市と姉妹都市交流を行っている静岡県掛川市在住のめぐさんは、12年にもわたり姉妹都市からのホームステイ受け入れをされているそうです。今回はめぐさんに姉妹都市交流やホームステイ受け入れの魅力を聞いてみました。

【国際交流インタビュー】
姉妹都市交流でホームステイ受け入れ(めぐさん)

海外に1つ以上の姉妹都市を持ち、交流をしている自治体は多くあります。
国際交流事業の内容はそれぞれの自治体(市町村)によって大きく異なりますが、静岡県掛川市は1970年代からアメリカ・オレゴン州ユージン市との姉妹都市交流事業を継続しており、その交流事業の活発さで知られています。

今回は、その静岡県掛川市にお住いのめぐさんに、10年以上も前から続けているという姉妹都市からのホームステイの受け入れ(ホストファミリー)の話を伺いました。

 

ayan : 現在、姉妹都市交流事業に積極的に関わっていると聞きましたが、そもそもめぐさんが国際交流に興味を持つようになったきっかけはどんなものだったのですか?

- めぐさん:私の生まれ育った静岡県掛川市では、私が子どもの頃から当時の市長が中心となって、姉妹都市(アメリカ、オレゴン州ユージン市)との国際交流に力を入れていました。ユージン市民訪問団の受け入れ 、ユージン訪問団の派遣なども行われており、そうした環境がきっかけで、私も10歳頃から海外に興味を持つようになりました。

その後、中学生のときに掛川市主催の海外研修(中・高・大学生の姉妹都市派遣プログラム)に参加したり、大学では語学や国際コミュニケーションを学んだり、海外旅行をしたり…。学生時代は時間もあったので、とにかく自分が海外へ出ることに目が向いていましたね。

しかし、大学を卒業して就職すると、日程的に海外旅行に行くことが難しくなりました。数年後、結婚し、出産、子育てが始まると、より一層できることが少なくなってしまったと感じ、自分はもう積極的に海外に行ったり国際交流したりすることはできないんだ・・・と、落ち込んだ時期がありました。

でも、やっぱり、私は国際交流、異なる文化を持つ外国人と交流を持つことが好きだと気づき、学生時代のように自由気ままにとはいかなくても、自分ができる範囲で自分なりの楽しみ方をしていけばいいんだと考えるようになりました。

 

子どもがいるから、田舎に住んでいるから、というのはできない理由にはならないんだな、と。自分が意識的に行動することによって、できることは増え、家族と貴重な経験を共有できる。これって、とっても素敵なことだと思うんです。

そんな経緯があり、我が家は市の国際交流協会に登録をし、姉妹都市交流プログラムなどを通して、アメリカからの訪問団のホームスティ受け入れをするようになりました。



ayan:いままでに何人(何回)くらいホームステイの受け入れをされたのですか?

- めぐさん:我が家が初めて外国人のホームステイ受け入れをしたのは、12年前、現在中学1年生の長男がまだ1歳のときでした。日本の大学に留学しているアメリカ人大学生が夏休みを利用して田舎に滞在するフィールドワークがあるのですが、その受け入れをしたんです。20歳くらいの女子大生を3年連続受け入れしましたね。

その後、長男が小学1年生になった年から、掛川市の姉妹都市であるアメリカのオレゴン州ユージン市(Eugene)にある友人学園(全米初の公立のジャパニーズ・イマージョンスクール*)からのJAPAN TRIP(日本への修学旅行)参加者(5年生とその保護者)のホームステイ受け入れをするようになりました。以来、毎年6月にこのジャパンツアーの受け入れをしており、今年で7年目になります。

友人学園の生徒たちはみな日本語を学習しており、修学旅行に来る5年生時点では簡単な日本語の会話ができるレベルになっている子もいるので、意思疎通がしやすいです。また、ほとんどの子が日本への強い興味を持っているので、受け入れをするこちらとしても嬉しかったですね。

そのほか、前述の留学生のフィールドワークとしてのホームステイを受け入れたり、姉妹都市からの一般向け訪問団や、友達の外国人のホームステイ受け入れをしたりで、だいたい年に2〜3回。通算で20回程度の受け入れをしてきました。

(*ジャパニーズ・イマージョンスクールとは、日本語を「イマージョン教育」で教える学校のこと。イマージョンは英語のimmerse(浸す)という言葉からきており、日本語で日本語を教えること(日本語にどっぷり浸る環境での教育)を指します。)




初めてのホームステイ受け入れ体験

ayan:初めてホームステイ受け入れをする前、不安はありませんでしたか? ご家族の反応はどうでしたか?  また、ホームステイ受け入れをする前に何か特別なこと(準備など)をしましたか?

- めぐさん:最初のホームステイ受け入れは、少し緊張して張り切りすぎてしまいましたが、今ではもう慣れました。張り切って何か特別なことをするのではなく、日本の普通の家庭の、普通の生活で良いんですよね。

なので、特別豪華な食事を用意しなくて良いし、無理をした観光も必要ないと思います。いつも家族と過ごす日常に、メンバーが増えてという感じで。

自分の身に置き換えてみると良いかもしれません。遠い国から十時間以上も飛行機に乗って外国に着いたばかり、時差ボケもあって疲れているときに、重たい食事や遠出はしたいでしょうか? 体調やスケジュールを考慮しながら、お互いに話をして、臨機応変に過ごすのが良いかと思います。

子どもが小さいときは、自分の子どもに手がかかるので、ホームステイをしている外国人のお世話まで手がまわるか心配な人もいるかもしれませんが、相手にちゃんと伝えたらわかってもらえると思いますよ。授乳や寝かしつけの時間、体力的な問題など、小さい子どもに手がかかるのは世界共通ですから。

子どもが大きくなってくると、恥ずかしがったりする子も出てくるかもしれませんが、積極的に話しかけること、輪にどんどん入っていくことをオススメします。しっかりとした英語の文章を話せなくても、単語やジェスチャーでもちゃんと通じます。要は「話したい、伝えたい!」という気持ちですね。

食事に関しては、選択肢を多めにしておく工夫をしています。例えば、手巻きずしの場合、生ものが苦手な方もいるので、卵やハム、そして稲荷寿司さんなども用意しておく。朝ご飯はパンとご飯、どちらも用意できるけれどどちらにします?といった感じです。家のお掃除は、事前にいつもよりほんの少し丁寧に。念入り掃除をする良いきっかけができたと考えるようにしています。^^


ayan:実際にホームステイ受け入れをしてみていかがでしたか?

- めぐさん:やっぱり楽しいし、子供たちにとっても良い経験になりますよね。自分でホームステイの受け入れをしようと決めて動いた(実際に受け入れをした)結果は、やはりついてくるのではないでしょうか。

私は子どもの習い事によく一緒に行ったり(英会話、水泳)、掛川市内の施設(掛川城、ステンドグラス美術館、掛川花鳥園)を観光したり、普段自分たちが行く食事処(ファミレス(さわやか)、うどん屋(丸亀製麺)、かき氷屋、駄菓子屋、ドラッグストア、文房具店などに連れて行ったりします。

この場合も、”自分だったらどうしたいか”に置き換えて想像してみるとみると良いかと思います。免税店や高級店に行きたいか? 庶民的なお店に行きたいか。わからない場合は相手に聞けばいいんです。正解なんてないんですから。


ホームステイ受け入れをするようになって驚いたことは、お風呂の入る時間と目的の違いですね。
我が家に来るアメリカ人の大半は、目覚めをすっきりさせるために朝シャワーを浴びます。でも、日本人は、夜寝る前に一日の汚れを落とし、清潔な身体でゆっくり休むためにですよね。

もちろんアメリカ式でも構わないのですが、注意すべきは日本の湿度。特に梅雨時期などは、暑さよりも湿度の高さに辟易(へきえき)してしまうそうです。そのため、ジメジメした身体と衣類のまま寝てしまい、夜中にあせもに苦しむことになった子も!
郷に入っては郷に従え、ですね。押しつけはよくないですが、その土地のやり方を学ぶことが相手にとって良い経験にもなる場合もあると思うのです。

今までのホームステイ受け入れを通して印象に残ったことは、来訪した人たちが日本の料理やお菓子、飲み物をすごく気に入って帰ってくれたことです。
料理(和食)であれば、鶏のからあげや、たまごかけご飯、お稲荷さん、うどん、つけ麺。お菓子であれば、じゃがりこ、ぱりんこ、歌舞伎揚げ(揚げせんべい)、ハイチュウ、ぷっちょ。ドリンクでは、三ツ矢サイダー、カルピス。こういったものが、我が家に来たゲストたちのお気に入りランキング上位ですね。


ayan:市町村のプログラムでホームステイ受け入れをすると、同じ地域で同じように国際交流に興味を持ってる家族、ホームステイ受け入れに興味を持っている家族と知り合うこともあると思いますが、実際のところどうですか??

- めぐさん:そうですね。価値観の似た方が集まるので、知り合いも増えると思います。もちろん家族構成や子どもの年齢はさまざまですが、ホームステイ受け入れを「面倒なこと」ではなく「わくわくする新しい体験」として考える方が多いと思います。

友人学園などの学生を受け入れるプログラムは、お子さんの居る家庭が受け入れをしている場合が多いので、話もしやすく、我が家も国際交流をきっかけに、家族ぐるみのお付き合いをする友達が増えました。

ayan:めぐさんがこれから先してみたいことは?

- めぐさん:第2外国語を覚えてみたいですね。掛川市は(大手メーカーの工場が多い関係で)ブラジルから移住してきている人も多いので、ブラジル・ポルトガル語に興味がありますね。息子たちが大きくなったら、夫婦で色々な場所を巡ってみたいです。

そのときそのときでやりたいことは変わってくると思いますが、常に探求心は持ち続けたいと思っています。どんなことでも、できない理由を探すのではなく、自分なりにできる方法を探すことが大切。息子たちが成長し、やりたいことを見つけ、自分で考えて行動していくようになったら、できる限り応援していきたいですね。

これからホームステイ受け入れをする方へ

ayan:興味深いお話をありがとうございました。最後に、これからホームステイ受け入れをしてみようかな、と思っている人に対して、何か一言いただければと思います。

- めぐさん:ホームステイ受け入れと聞くと、色々な面で身構えてしまう方が多いかと思いますが、本当に”ふつうの日常”で構わないと思いますので、「やってみようかな?」と迷っているのなら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

行動した先にしか、体験できないことってあると思うんです。
きっと楽しい思い出がたくさん増えますし、ホームステイ受け入れ(ホストファミリー)という経験を通して、自分たちの生活もより実り大きいものになると思います。

私がホームステイ受け入れを続けているのは、自分が中学生の頃(市の姉妹都市交流プログラムで)アメリカに行く機会を得、現地のホストファミリーに家族のように受け入れてもらったことを私も誰かにしたいと思っているから。そして、ふたりの息子たちに異なるバックグランドを持つ人たちと接する機会を与えたいというのも理由です。

いつか息子たちも海外に行く日が来るかもしれません。人種や文化が違っても、してもらって嬉しいことは嬉しい、されて嫌なことは人にはしない。当たり前のことですが、とても大切なこと。
ホームステイ受け入れは、たとえ短期間であっても外国人と生活を共にし、”違いを受け入れること”や”共通すること”を親子で学ぶ、貴重な体験になると思います。

「そういえば、うちの市町村の姉妹都市ってあるのかな? どんな国際交流事業が行われているのかな?」と興味を持った方は、ぜひお住まいの自治体の公式サイトや広報で姉妹都市の有無や、行っている国際交流事業について調べてみてください。
ホームステイ受け入れ(ホストファミリー)の募集に限らず、国際交流イベントの情報が見つかるかもしれませんよ。



【関連カテゴリ】外国人を自宅に招く方法

  はてなブックマークに追加 【国際交流インタビュー】姉妹都市交流でホームステイ受け入れ(めぐさん)

ギャラリー

外国人を自宅に招く方法

日本にいながら外国人の友達を作る手っ取り早い方法は、外国人を自宅に招くこと。ホームステイ受け入れは1泊〜可能ですし、宿泊を伴わず食事だけをいっしょにするホームビジットなどの方法も。

地域の外国人と交流する方法

あなたの住んでいる地域にも外国人は暮らしています。生活の基盤が日本にある在日外国人と知り合えば、家族ぐるみで長くお付き合いをすることも可能。彼ら/彼女らも日本人の友達を作りたいと思っているかも。

ネットで外国人と交流する方法

インターネットで外国人の友達を探すことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、いわゆる出会い系ではなく、ごく普通の友達を求めている人もたくさんいます。今日の出会いのきっかけとして、インターネットは欠かせません。

外国人の友達を作るTips

「英語の勉強になりそうだから外国人の友達を作りたい!」これ、直接外国人に言ったら嫌われてしまうかも。外国人の友達を作りたい人が気を付けたいこと、知っておいた方がよいことなど。

国際交流インタビュー

いろいろなかたちで国際交流を楽しんでいる人達に「外国人と友達になる方法」「私なりの国際交流」についてお話を伺いました。