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外国人の友達を作る方法

ヒッポファミリークラブで多言語子育て(由香里さん)

「見てごらん。国も言葉も違うのに、子どもたちはこんなに楽しそう。これって子供にとってすごい経験だと思わないかい?」 
ヒッポファミリークラブで多言語子育て中の由香里さんが、ホームステイ先の韓国人ホストファザーにもらって涙した言葉とは。

【国際交流インタビュー】
ヒッポファミリークラブで多言語子育て(由香里さん)

「親子で多言語子育て」「7か国語で話そう!」などのコピーで有名なヒッポファミリークラブ。「いったいどんなクラブなの?」「クラブに入るとどんなことができるの?」「かかる費用は? 評判は?」・・・ヒッポファミリークラブの名前は知っていても、実際にどんな活動をしているのかよくわからないという方も少なくないのでは。

今回は、ヒッポファミリークラブ歴4年、ふたりの子どものママである由香里さんに、ヒッポファミリークラブのこと、ホームステイの受け入れ(ホストファミリー)体験、そして、お隣・韓国での親子ホームステイ体験の話を伺いました。

 

ayan : 由香里さんはご自宅で外国人のホームステイを受け入れているとのことですが、ホームステイ受け入れをするようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

- 由香里さん:ヒッポファミリークラブに入会したのがきっかけです。ヒッポでは1泊2日〜の短いホームステイの受け入れや長期の受け入れ、また逆にホームステイに出かけるシステムが多くあります。

※ヒッポのホームステイ受け入れ
週末の1泊〜長期まで、海外からの留学生や技術研修生、ヒッポと交流のある各国からの青少年・家族のホームステイをメンバーの家庭に受け入れるプログラムです。

それを目的として活動に参加し始めたわけではないのですが、メンバーがホームステイの受け入れをするたびに、「楽しかったー!」と話していたので、そういう話を聞いているうちに「私もやってみたい!」と思うようになりました。

その頃、子どもがまだ3歳と1歳と小さくて不安もありましたが、同じような年ごろの子どもがいるメンバーが何度も経験していたので「私でもできるかも」と思いました。この経験が自分にも子どもにも素敵なものになる!と直感したのがきっかけです。

ヒッポファミリークラブについて

ayan:「ヒッポファミリークラブ」について詳しく教えてください。

- 由香里さん:ヒッポファミリークラブは「言葉を勉強するのではなく、自然に身に付けること」を主とした団体です。赤ちゃんを想像してもらうとわかりやすいです。生まれたばかりの赤ちゃんに発音練習させる親はいません。また、五十音順から教えることもありませんよね。^^

言葉は『聞こえてくる環境』と、『話す環境』があれば勝手に育つのです。

ヒッポファミリークラブでは、ストーリーCDを始めに購入します。家や車の中でそのCDを流しているのですが、必死に聞くのではなく「聞こえてくる環境を作っている」のです。

テレビで流れてくるCMの歌が、いつの間にか歌えるようになるのと同じで、普段何となくCDを聞いていると、いつの間にか口ずさめるようになるから不思議です。

ヒッポでは赤ちゃんからご年配の方まで、みんなが一緒に集まって活動します。年齢やレベルによるクラス分けなどはありません。韓国語でじゃんけんゲームをしたり、ロシアの音楽にあわせて踊ったり。子どもも大人も一緒になって遊びます。その他、CDから聞こえてくる言葉を真似たり、自己紹介や今日の出来事を違う国の言葉で話します。



ヒッポファミリークラブの活動は日本だけでなく、韓国、メキシコ、アメリカにも広がっています。

ヒッポファミリークラブは会費で運営されていて、家族で活動しやすい「家族会費制度」になっています。 入会する時に入会金約1万円(1家族あたり)、会費は月に1度、1人会員は7200円、家族2人以上はおよそ(1万円+1000円×人数)。家族の人数が多いほど、一人当たりの会費は低くなります。

最初に購入するCDセットは、セット内容が選べるので価格はそれぞれですが、約47000円からあります。CDは教材ではなく、環境という考え方なので、入会してから変更することはありません。入会資格は特になく、だれでも入会できます。

ヒッポファミリークラブのその他の活動として、高校生や大学生が3か国語以上の言葉を使って、約600人の前でプレゼンテーションする大会などもあったりします。

初めてのホームステイ受け入れ体験

ayan:ヒッポファミリークラブの企画で、ホームステイ受け入れをすることになったのですね。 初めてホームステイ受け入れをする前、不安はありませんでしたか? ご家族の反応はどうでしたか?  また、ホームステイ受け入れをする前に何か特別なこと(準備など)をしましたか?

- 由香里さん:はい、ヒッポファミリークラブでは、ときどき外国人のホームステイ受け入れ家庭(ホストファミリー)の募集があります。例えば、 『日本の大学に交換留学として通っている外国人学生を、1泊2日でホームステイ受け入れ募集』というようなチラシが配られるので、それに対して興味がある人が申し込みするのです。

私もそうした募集を見て、ホームステイ受け入れの希望しました。初めてのことなのでかなり不安でした。特に、子どもがまだ小さく、ただでさえ子どもに手がかかるのに、ホームステイに来る人のお世話まで私に出来るのだろうか、というのが一番不安でした。しかし、主人が協力的だったので助かりました。

イスラム教の人を受け入れしたときは、お酒(料理酒やみりん含む)や肉が全く食べられない人だったので戸惑いました。メンバーに「どんな料理がいいと思う?」と相談すると、イスラム教の人をホームステイ受け入れした経験者がたくさんいて、「たこ焼きが喜ばれたよ!」などアドバイスをたくさんもらえました。

中国の人を受け入れするときは、中国語が聞こえてくる環境(CD)を、タイの人を受け入れする時はタイ語が聞こえる環境を作るようにしました。挨拶や自分の名前をその国の言葉で伝えるだけで、とっても喜んでくれました!


ayan:実際にホームステイ受け入れをしてみていかがでしたか?

- 由香里さん:子どもが小さいので、あっちこっちに観光はできませんが、意外とホームステイに来る人は、観光ではなく日本のいつもの生活を体験したいのだということに気づきました。何か特別なことをしなくてもいいんだ、と。^^

それに気づいてから、ホームステイの受け入れが気楽にできるようになりました。うちの子どもたちも、我が家にホームステイに来てくれるゲストにすぐになついて、いっぱい遊んでもらっていました。主人も、最初の頃は緊張していましたが、回を重ねるにつれて慣れてきたのか、自然に対応できるようになってきました。

ホームステイが終わっても連絡を取り合って、もう一度お泊りに来てくれた人も何名かいます。そして、今度は私たちがその子に会いに台湾に行くことも決めました。何よりも子供たちが「○○ちゃんに会いたい!」と言ったのが決め手です。どんな国の人でも関係なく「会いたい!」と言った子どもたちの気持ちを大切にしたいと思ったのです。

初めての韓国親子ホームステイ体験

ayan:そんな経緯で、お子さんを連れて海外ホームステイに行ったとのことですが、そのお話を聞かせてください。それもヒッポファミリークラブ関係ですか?

- 由香里さん:はい、ヒッポファミリークラブには、以下のような海外ホームステイ交流プログラムがあります。

  • 家族交流・・・社会人やシニア世代、小さなお子さん連れでも参加できます。年末年始、ゴールデンウィークなどの約1週間〜2週間のプログラムです。
  • イヤーロングプログラム(海外高等学校交換留学)・・・高校在学中の約1年間、ホームステイしながら現地の学校に通います。アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、スペイン、メキシコなど留学先は毎年10ヶ国以上。
  • 青少年交流・・・小学5年生から大学生までの感受性の豊かな時期に、世界に触れるチャンス。期間は春・夏休み中の約2週間〜1ヶ月。原則、各家庭にひとりずつホームステイします。
  • アジアンプロジェクト(多言語キャンプ、合宿)・・・小学6年生から大学生年代が、中国、韓国、マレーシア、タイなどアジア各国の青少年と、国・文化の違いを越えて出会い、生活を共にします。多言語で友情を育むプログラムです。


私はこの中の家族交流プログラムに参加し、親子でホームステイをしてきました。 「行きたい!」と思ったのは、メンバーのホームステイ体験を聞いたのがきっかけです。

ホームステイから帰ってきたメンバーは、皆が口をそろえて「楽しかった!親子ともにいい経験ができた!」と言うのです。しかもオムツをはいている年齢の小さな子どもを連れて行ったママでさえも!

「日本で子育てするだけでも大変なのに、子連れで行くホームステイが本当に楽しいの?」と、最初は半信半疑でした。しかし、ヒッポでは子供と一緒にホームステイに行く人がたくさんいて、みんなの話を聞いていると、「私も行ってみたい!」という気持ちに変わっていったのです。当時5歳の娘、4歳の息子と一緒に行くことにしました。

私が行ったのはお隣の国、韓国。お父さん、お母さん、3人の子ども達がいる家にホームステイさせてもらいました。 子ども達はすぐに韓国の子ども達と仲良く遊んでいました。

そこで感じたのが「言葉ってなんだろう?」ということ。子ども達は全く言葉が違っていても、大笑いをして遊んでいます。大人の私たちは、きちんと会話ができるようにならないと意思疎通ができないと考えてしまいがちですが、韓国に行って感じたのは、「言葉が通じなくても仲良くなれる」ということ。「子供ってすごい!」と思いました。

私がこのホームステイで一番忘れられないのは、最後の日の夜。家でお父さんとお母さん、そして私はワインを飲んで会話を楽しんでいました。その横では韓国の子と我が子が一緒に遊んで大笑い!そんな笑い声を聞きながら、お父さんがこんな話をしてくれました。

「見てごらん。国も言葉も違うのに、子どもたちはこんなに楽しそう。これって子どもにとってすごい経験だと思わないかい?

日本も韓国もそうだけど、どこの学校を出たとか、偏差値がいくらとか、そこばかりに目がいってしまう。もちろんそれも大切だけど、大きな世界で見たとき、それはほんの少しの差でしかないんだよ。

だからこんな小さな頃から、大きな世界を見せれる経験は本当に素晴らしい事だと僕は思うんだ。」

子ども達の笑顔を見ながら、私は感動で涙が止まりませんでした。

国際交流を通して子どもに期待すること

ayan:由香里さんが国際交流を通してお子さんたちに期待することはなんですか?

- 由香里さん:私は子どもに「英語を話せるようになる」ことではなく、「英語を使って、誰と話したいのか」ということを考えてほしいと思ってます。そんなふうに考えるようになったのは、やはりホームステイを経験したから。帰国した後、子供が私に「韓国語が話せれば、もっとあの子たちと楽しく遊べるね!」と言ったのです。

韓国語が話したいのではなく、韓国の子たちと楽しく遊びたいから、話せるといいな!と思った子供の気持ち。目的は「話せるようになこと」ではなく「話せるようになって何をしたいか」ということだと気付かされた瞬間でした。その気持ちを忘れずに育ってくれると嬉しいです。

これからホームステイ受け入れをする方へ

ayan:たいへん興味深いお話をありがとうございました! 由香里さんがホームステイやヒッポファミリークラブでの交流を家族ぐるみで楽しんでいるご様子が伝わってきました。最後に、これからホームステイ受け入れをしてみようかな、と思っている人に対して、何か一言いただければと思います。

- 由香里さん:初めてのことは誰でも緊張するし、高い壁なような気がしてしまいますよね。だけど、ホームステイをしている人たちの中に身を置くと「私にもできるかも!」と、その壁が低くなるのです。

最初の一歩は緊張するかもしれませんが、回を重ねるにつれて、自分も家族も力が抜けていき、とても楽しくて貴重な経験になりますよ。^^

今の時代「グローバル」は欠かせなくなってきました。「グローバル」とは、違う国の言葉が話せるだけではなく、どんな国の人とでも「話してみたい!」と思う気持ちを育むことだと私は思っています。



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